Amazonで1,000円くらいで買えるVRゴーグルを比較してみた

Amazonで1,000円くらいで買えるVRゴーグルをレビュー数上位から5つ買って比較してみた。というのも、プラ成形のちゃんとしたスマホVRゴーグルは比較サイトがあるんだけど、ボール紙の奴は比較サイトがあんまりなかったからだ。

結果がこれ ↓

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LinkCool V2

LinkCool V1

POTOK V2

Patech

ハコスコ

 

比べてみた結果としてまず一つ、メーカーによって全然見え方のクオリティが違うということがわかった。

LinkCool V2 がダントツでよかった。 Linkcoolv1 も次によかった。主にレンズのクオリティが大事だということが分かった。下記に評価の顛末を書いておこう。

 

展示会で無料で配られていたボール紙のゴーグル (GuruVRが配ってたやつ) を貸してもらったらそれが結構よかった。それで自分でも買おうとしてAmazonを見たらプラスチック製のちゃんとしたやつも結構安かった。結局「ボール紙じゃなくても安いのあるじゃん」と思って 1,710 円のプラ成形のゴーグルを買ったのだが、これがなぜか展示会配布の紙の奴と全然違う

f:id:zumrud:20161204034038j:plain1,710円のプラ成形のスマホVRゴーグル。

 立体感が全くない。ゴーグルでこんなに変わると思っていなかったので、ボール紙のゴーグルを買うときにどうせ安いので4つくらい買ってみようと思った。(あとで追加して5つになったが)

 

Amazonが来た。

こう。

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そしてこう。

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3秒くらいで組み立った。

買ったのは、Linkcool V1、ハコスコ、POTOK V2、patech、LinkCool V2。

 

評価環境とVRコンテンツ

コンテンツは YouTube のをいろいろ試した。特にこの4つがコンテンツとしていい。

 

エレベーターの中に来たらいきなり子犬がいるやつ

 

Mikulus でTda式ミクが立っててグリグリ近づくやつ

 

 

チアリーダーのやつ

NASAのトレーニングのやつ

 

あとアプリも試してみた。重いけど、いい。

Android アプリ1:結構すごかった宇宙のやつ

 

Android アプリ2:結構すごかった宇宙のやつの2

特に、子犬の奴は被写体がガンガン近づいてきてくれてVR感がビリビリきて、いい。他にはチアリーダーのやつがスタジアムの中で練習するやつのドームがスケールでかくていい。使ったスマートフォンXperia Z5 Compact。VRには少し小さいが相対評価はまあそんなに変わらないだろう。*1 

 

評価ポイント1:立体感・没入感

1,710円のゴーグルで痛い目にあったのが立体感だった。

LinkCool V1、POTOKv2、patech、ハコスコの4つは4つとも問題なしという感じ。いい感じだった。

なぜ VRBOX はだめだったんだろう。レンズの構造がそもそも違っていて、スクリーンが遠いように思う。もういろいろ比べた今となっては全然立体に見えない。*2

LinkCool V2 はさらに立体感・没入感が高くて一番良かった。ほかの4つよりも近くに感じるというか、視野が広く感じるというか、そんな感じだ。 

 

評価ポイント2:レンズの結像

次に大事なのがレンズの結像だということが分かった。くっきり焦点が合っているか。どれも、中央からまっすぐ前を見たときはくっきり焦点が合っているが、眼球を動かして少し斜めをみたときにぼやけるものが多かった。これはLinkcool V1とV2が圧勝だった。他の3つはリング状にぼやける場所がある。いろいろ試しているうちに、これは結局、3D以前にスマートフォンのディスプレイのドットがくっきり見えているか、で判断が付くことが分かった。そこでテスト用のページを作ってみた。

Cardboard Checker

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4x4の四角をいっぱい並べてある。このページを見て、片眼ずつ眼をつむり、眼球を動かして、どこの方向もくっきりと映像が見えるかを確かめるとレンズのクオリティが確認しやすい。

試しに、それぞれのレンズ越しに写真を撮ってみたので、掲載してみる。

この写真は、上記の Cardboard Checker をスワイプして中央の赤い点をレンズの中央に持っていき、眼で覗く代わりに別のiPadのカメラで撮ったものだ。カメラの画角が狭いので、この写真は2cmほどレンズから離して撮っている。なので、この黒い円の視野角は±45°よりも小さい。±30°くらいかもしれない。

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ハコスコは、このように結像しないエリアがリング状に生じていた。乱視のように2重に見えたりもして、かつ、歪みも大きい。実際の映像でみたときも、白い煙がかかっているように見える。至るところガサガサで見てられない感じだった。

 

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patechは一見良さそうだが、中央より少しずれたところが縮小して歪み、写真では良さそうに写っているが実際に眼で見るとこれが焦点が合わなく見え、やはり白いに見える。中央に近いのでこれが不快だ。

 

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POTOKは結像も良く、結構いい線をいっているが、中央部分がなんだかうっすらと結像が悪く、中央付近も歪んでぼやけている。白い煙が出ることはないが、眼球の位置が少しずれただけで眼が少し悪くなったかのようにぼんやりとする瞬間がある。きれいなポジションを探すのが面倒である。

 

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LinkCool V2は全体的にバランスが良く、最外周以外は結像はあまり問題ない。見て分かるように非常に視野が広く(写っている四角の数が多い)、そのせいで歪んでいるだけだ。(というよりそれはもともと平面→球面の変換で生じる歪みなのでcardboard対応画面を見るときには補正されてる)

 

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LinkCool V1は結像に関してはほとんど完璧。視野全てでフラットに焦点が合い、非常によい。歪みもほとんどない。ただ、他のと比べて視野がかなり小さい(写真でいうと、写っている四角形の数が少ない)。また写真のように3か所ずつレンズホルダーのでっぱりがあって、これが邪魔と言えば邪魔だ。(気にならないときは気にならないのだが。)

評価ポイント3:像の歪み

上記のように、レンズの精度によって像の歪みはあったりなかったりして、順位付けすると、歪みの無さは

LinkCool V1 >> LinkCool V2 = POTOK V2 > patech > ハコスコ

という感じなのだが、この歪みというのは実際は大して気にならない。それよりもそれによって生じる評価ポイント2の結像ボケの方が辛い。

評価ポイント3:レンズの曇り

Cardboard をかけてまず初めに気になったのは、眼球が湿度を持っているのか、ゴーグルをかけて3秒くらいするとレンズが曇ってぼやけること。このせいで映像も白くぼやける。外してレンズを見ると分かるが、眼を離すと曇りが乾いて5秒くらいで消える。ハコスコが一番曇りが悪かった。唯一、LinkCool V1だけは全く曇らない。なぜだろう。材質が違うのか。

評価ポイント4:視野の広さ

視野の広さに違いはあるか。これはあまり違いがなかったが、LinkCoolV2だけが抜群に良く、それによる没入感も出ていた。逆に、LinkCool V1だけはレンズをとめるでっぱりが邪魔だと思った。しかし実際は映像に集中していると視界から消えてそんなに気にならない気もする。

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評価ポイント5:光量

光量に違いがあるか。VRBOXはボール紙製のに比べるとずいぶん暗かった。ボール紙の方が明るく5つはそんなに変わらない。距離が近いからかな。

評価ポイント6:操作

これは YouTubeGoogle Cardboard だけの機能だが、Cardboard 対応動画の再生中にスマートフォンディスプレイをタップすることで視点マウスが現れ、再生位置の移動や動画切り替えや改造同切り替えなど操作ができる。ゴーグルに入れているとタップができないので、タップするためのメカニズムが用意されていて、静電シートタイプ磁石タイプの2種類がある。

下記は静電シートタイプ

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指でボタンを押すことで突起が動いてタップをするメカニズムである。指と静電シートで導通しており、静電気も突起に届く仕組み。タップは全画面どの位置を押しても同じになっている。

下記は Linkcool の磁石タイプ

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ドーナツ型なのが磁石で、これは、下に動く。この写真の位置の裏側にもう一つの固定された磁石があって、表の磁石を下にスライドさせて、手を放すと磁力で上に戻る。スマートフォンがどうやってこれに反応しているのかはよくわからないが、たぶん下にスライドしたときに磁力がタッチディスプレイに伝わってタップと判断されるのではないか。

使ってみたところ、磁石タイプの方がいい感じ。何が違うかというと、スライドしたときに「カコン」と下の縁に当たるので、それがクリック感となって、ちゃんと押されているのがわかる。静電シートタイプはタップされてもとくに指の方に感触のフィードバックがないのでクリックがよくわからない。

LinkCool V2を追加で買ったら、なぜか磁石から正殿シートタイプにデグレードしていた。なんで。磁石高くて採算合わなかったか。

と長々と書いてみたけど実際このクリック操作に関してはそんなに重要ではない。でもVRBOXは操作すらできず、動画を切り替えるのにいちいち取り出すのが面倒だった。あるのを買った方がいい。*3

評価ポイント:その他

その他、Patech のはスマホを固定する吸盤が後ろについており、これが逆に角度を調節できなくて邪魔だった。主に、スマホが傾いて両眼の高さが合わないと両眼の焦点が合わないのだが、見ながら合わせるのが一番やりやすい。

f:id:zumrud:20161204052558j:plain Patechの吸盤

その他、おでこが当たる部分が汗で湿って色が変わってしまう。別にいいが、人に貸す時に気にしてしまう。唯一POTOKはスポンジのアテをつけるケアがなされていて、変色の心配はない。でもこれは自分でガムテープなど、好きなものをつけたらいい。

f:id:zumrud:20161204052626j:plain Linkcoolに付けたおでこ当て。

 

まとめ

どれも同じだろうと思っていたら結構差があったのが衝撃だった。主に視野の広さによる没入感レンズの精度による結像の良さ曇らない材質、が大事な点だ。

 

 

*1:あとで大きめのスマートフォンで試したら、大きい方がより立体感・没入感が出てよかった。

*2:本当はプラ成形のゴーグルも複数比べたいんだが買い捨てするには少し高い。

*3:ちなみに磁石はXperia Z5 Compactではスマホの上下を反転すると逆側は使えなかった